コーギーのしめじは今年6歳。 ワクチンの接種スケジュールに従って毎年ワクチン接種してきましたが、世界ではいろいろ変わってきているようです。
狂犬病予防注射は義務ですが混合ワクチンやフィラリアの対策は任意です。 しめじは2012年から3点とも毎年しっかり実施しています。
狂犬病予防
日本では狂犬病予防法って法律があるくらいなので打たないといけません。義務です。 日本だけで見れば1957年から発生していませんが世界で見るとまだまだ発生しているので油断はできないそうです。
<犬の登録と狂犬病予防注射は飼い主の義務>
犬の飼い主には下記3点が法律により義務付けられています。
(1) 現在居住している市区町村に飼い犬の登録をすること
(2) 飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせること
(3) 犬の鑑札と注射済票を飼い犬に装着すること
ワクチン
ワクチン接種ガイドラインを設定した世界小動物獣医師会:World Small Animal Veterinary Association,WSAVA)の目標です。
私達は、すべての動物にコアワクチンを接種することを目指す。ノンコアワクチンは、必要と思われる頻度を超えて接種してはならない。
2015年にはWSAVAによってワクチン接種ガイドラインが示されました。 各国の言語に翻訳され、もちろん日本語版もあります。 PDFの38ページからの付属文章に各ワクチンについて、⑴入手可能なワクチンの種類、⑵メカニズムと免疫持続期間(DOI)、⑶注意事項、⑷本疾患の説明があります。
コアワクチンが対象とする病気は4つあります。海外では「免疫持続期間」は3年とされています。
- 犬ジステンパー
- 犬パルボウイルス感染症
- 犬伝染性肝炎(犬アデノウイルス1型)
- 狂犬病(日本では義務として1年ごと)
ノンコアワクチンが対象とする病気は2つです。海外では「免疫持続期間」は1年とされています。
- 犬レプトスピラ病
- パラインフルエンザウイルス感染症
WSAVAのガイドラインはもちろん日本獣医師学会のQ&Aにも反映されています。
Q:犬猫のワクチンについて
犬や猫用のワクチンには様々なものがあるようですが,接種は毎年行わなければならないものなのでしょうか。 また,ワクチン接種の副作用などもあるようですが,獣医師の先生はどのような考えをおもちでしょうか?■お答え
すべての動物で毎年のワクチン接種が必要というわけではありません。
ワクチンには,全部の動物に接種すべきコアワクチンと,感染のリスクに応じて接種するノンコアワクチンの2種類があります。
コアワクチンが対象とする病気には,犬では犬ジステンパー,犬パルボウイルス感染症,犬伝染性肝炎と狂犬病があり,猫では猫汎白血球減少症(猫のパルボウイルス感染症),猫ウイルス性鼻気管炎,猫カリシウイルス感染症があります。
主なノンコアワクチンの対象には,犬ではレプトスピラ病,パラインフルエンザウイルス感染症など,猫では猫白血病ウイルス感染症,猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ),クラミドフィラ・フェリス感染症などがあります。
接種方法については議論もありますが,世界小動物獣医師会のワクチネーションガイドラインの推奨する以下のような方法が現在最も安全で効果的だと考えられます。犬のコアワクチン
子犬では6週齢から8週齢で接種を開始し,2から4週間間隔で16週齢以降まで接種します。6カ月または1年後に再接種(これをブースターと言います)した後は3年以上の間隔で追加接種を行います。(狂犬病はコアワクチンですが日本の法律で毎年の追加接種が義務付けられています)
猫のコアワクチン
猫汎白血球減少症は犬のコアワクチンと全く同じです。
猫ウイルス性鼻気管炎と猫カリシウイルス感染症はブースターまでは同じですが,室内で1頭飼いされているなど感染症の危険の少ない低リスク群の猫ではその後は3年に1回の接種が,また,多頭飼育で室内と屋外を行き来するような高リスク群の猫では毎年の接種が推奨されています。
犬のノンコアワクチン
レプトスピラ病やパラインフルエンザウイルス感染症では,ブースターの後も毎年の接種を推奨しています。
猫のノンコアワクチン
猫免疫不全ウイルス感染症とクラミドフィラ・フェリス感染症ではブースターの後も毎年の接種を推奨しています。猫白血病ウイルス感染症では,ブースターの後は2から3年以上の間隔での追加が必要とされています。このように少し複雑なプログラムを組み合わせ,それぞれの動物のリスクに合わせてワクチンの接種間隔が決められるのです。ですから追加接種が3年に1回の動物も,逆に毎年必要な動物もいます。
ご質問にもあるワクチンの副作用については獣医師の間で重大な関心が持たれています。9年前の日本小動物獣医師会の調査では,犬にワクチンを接種すると約200頭に1頭で何らかの副作用が見られており,約3万頭に1頭が死亡しています。これはかなり高い数字だと言えます。こういった副作用をできるだけ減らすため,その動物に必要な最小限の回数でワクチンを接種する必要があるのです。
現在では臨床医の間でもこのような認識が広まり,地域のリスクに応じたプログラムを提案する動物病院もでてきています。
栗田動物病院
院長 栗田吾郎
(2016/5/27 掲載)
ワクチンが対応する病気
共立製薬株式会社で感染症の症状、治療法、予防について説明があります。
犬ジステンパー
犬ジステンパーは、Paramyxoviridae科Morbilivirus属のジステンパーウイルス(CDV)によって起こるウイルス性の感染症です。この感染症は、CDVに感染した犬の目やに、鼻水、唾液、尿、及び糞便などの排泄物との接触や、感染犬の咳やくしゃみなどの飛沫物によって感染します。
CDVに感染すると、目やにや鼻水、発熱、食欲の低下など様々な症状が現れます。一般的に初期症状は軽いとされていますが、抵抗力の弱い子犬や老齢犬などの場合は、二次的な細菌感染も起こりやすく、結果として重篤な症状を引き起こす場合があります。
また、CDVが脳神経細胞や脊髄の神経細胞に侵入すると顔や手足の筋肉に「チック」と呼ばれる痙攣発作や、神経症状や脳炎が起こり、歩行困難などの障害や最悪の場合には死に至ることもある怖い感染症です。
ジステンパーウイルスに感染した場合、残念ながら有効な治療薬はありません。そのため、治療は細菌などの二次感染を抑えるための抗生物質投与や点滴などの対症療法しか手段がありません。
犬パルボウイルス感染症
Parvoviridae科Parvovirus属に属する犬パルボウイルス(CPV)によって起こるウイルス性の感染症です。
原因ウイルスである犬パルボウイルスは、環境に対して非常に強い耐性を示し、通常の環境中では数ヵ月から場合によっては数年間生存すると言われています。本ウイルスは酸やアルカリ、さらに50℃近い熱に対しても耐性を示し、次亜塩素酸ナトリウムやホルマリンと言った効果の非常に強い消毒薬でなければ死滅させることはできません。
犬伝染性肝炎(犬アデノウイルス1型)
犬伝染性肝炎は、Adenoviridae 科Mastadenovirus属に属する犬アデノウイルス(CAV)によって起こるウイルス性の感染症です。
この感染症は、CDV同様、CAV-1に感染した犬の分泌物や排泄物との接触によって感染します。1歳以下の幼若な犬では、比較的重篤な症状をを示すことが多く、発熱、下痢、嘔吐、及び腹痛などの症状が認められ、最悪の場合には死に至ることもある怖い感染症です。また、重篤な症状を示した犬では、回復期に「ブルーアイ」と呼ばれる角膜の混濁が見られる場合もあります。
犬伝染性肝炎に直接効果を示す有効な治療薬はありません。この感染症の原因ウイルスであるCAVは、通常の環境中では数日から数ヵ月生存し、感染犬との直接の接触がなくても感染してしまう危険があります。
犬アデノウイルス2型
本感染症も犬伝染性肝炎と同様、感染した犬の分泌物・排泄物との接触や感染した犬の咳やくしゃみ、鼻水などの飛沫物によって感染します。症状は発咳を特徴とする上部気道炎を示し、「ケンネルコフ」と呼ばれる「犬のカゼ」の病原体の一つと考えられています。
本感染症の治療は、感染率は高いものの致死率が低いことから細菌などの二次感染を抑えるための抗生物質投与や点滴などの対症療法が中心になります。
原因ウイルスは、先の犬伝染性肝炎と同様のウイルスであることから、感染した場合は同居犬から速やかに隔離し、分泌物や排泄物を徹底して消毒することが重要となります。
狂犬病
狂犬病は、Rhabdoviridae科Lyssavirus属の狂犬病ウイルス(略してRV:Rabies Virus)によって起こるウイルス性の感染症です。この狂犬病ウイルスは人を含むすべての哺乳類に感染し、発症した個体は、ほぼ100%死亡する非常に恐ろしい感染症です。世界では狂犬病により年間5万5千人が死亡し、2億5千万人の人々が狂犬病ウイルス感染の危険に曝されているとされています。
狂犬病は一旦発病すると、現段階では治療方法はまったくありません。
犬レプトスピラ病
犬レプトスピラ病は、ネズミ等の野生生物が主な感染源と考えられ、人をはじめとする多くの哺乳類が、感染・発症する病気(人と動物の共通感染症)です。
犬レプトスピラ病は、主に病原性レプトスピラ菌(レプトスピラ菌)に汚染された土壌や水を介して感染する細菌感染症です。レプトスピラ菌に感染した犬は、症状の出ない不顕性感染で終わることも少なくありませんが、発症した場合には特に肝臓や腎臓に障害が現れやすく、発熱、出血、黄疸、腎不全や乏尿などの症状が認められ、ひどい場合には死に至ることもあります。犬レプトスピラ病は、感染の初期であれば抗生物質での治療が可能です。
脱水症状が見られる場合は点滴などの対症療法を行います。
パラインフルエンザウイルス感染症
犬パラインフルエンザウイルス感染症は、Paramyxoviridae科Paramyxovirus属のパラインフルエンザウイルス(CPIV)によって起こる呼吸器症状を特徴とするウイルス性の感染症です。この感染症は、CPIVに感染した犬の咳やくしゃみなどの飛沫物によって感染します。
CPIVに感染すると、咳や鼻水が出たり、発熱、元気・食欲の低下など風邪同様の症状が現れます。
集団飼育をしている場合には、他の感染症と同様に感染した犬の速やかな隔離と徹底した消毒を行う必要があります。
しめじが打った混合ワクチン
6種混合ワクチン
先日、しめじが受けた予防接種は6種類の混合ワクチンです。海外では3年ごとで良いとされているコアワクチンと1年ごととされているノンコアワクチンを一緒に注射されてます。
- 犬パルボウイルス感染症
- 犬ジステンパー
- 犬パラインフルエンザ
- 犬伝染性肝炎
- 犬アデノウイルス2型感染症
- 犬レプトスピラ病(黄疸出血)
8種混合ワクチン
去年(2017年)に受けた混合ワクチンは8種類。コロナウイルスのワクチンが含まれていました。
- 犬パルボウイルス感染症
- 犬ジステンパー
- 犬パラインフルエンザ
- 犬伝染性肝炎
- 犬アデノウイルス2型感染症
- 犬レプトスピラ病
- 犬コロナウイルス感染症
- 犬コロナウイルス
ワクチン接種の今後
WSAVA犬と猫のワクチネーションガイドライン2015年版の最後に下記のようにあります。 しめじは毎年春にフィラリアの検査と健康診断を兼ねて採血をしています。
日本でもこの健康診断の際に抗体検査もしてもらえればよいですね(*゚ー゚)
すべての犬に対してすべての種類のワクチンを毎年接種して いたのは、そう昔ではない。しかし現在では多くの国で、コアワクチンを3年に1回、ノンコアワクチンを1年に1回という接種 方法が用いられるようになった。 その方法もすでに古くなりはじめている。ヨーロッパや北米の最新の動向として、3年に1回、鵜呑みにしてコアワクチンを 接種するのではなく、抗体検査を行うという一段階を踏んでからワクチン接種を行うようになっている。検査で抗体が認められれば、予防効果は持続していると判断するのである。これは飼い主にも好評であり、動物たちが接種するワクチン数も減らすことができる。 ワクチン学の領域に、かなり速いスピードで変化が訪れてい ることがわかる例である。
ワクチネーション 最新アップデート2017 pdf
ワクチネーションガイドライン2015年版 pdf
アレルギーとアナフィラキシー
しめじも一度、ワクチン接種後フィラリアの予防注射接種後にアナフィラキシーの症状出たことがあります。 獣医さんの対応で何事もなく済みました。 毎年注射を打っていてもショック症状が出たのはこの1度だけです。 WSAVAでもアナフィラキシーの80%は接種後 15分以内に発生しているため、ワクチンを打ったら必ず15分は病院で様子を見た方が良いとあります。
追記)2018年11月4日 角刈りの勘違いでした。 すいません。
アナフィラキシーとなったのはフィラリアの予防注射でした。 毎年、月に1回の錠剤で対応していたのですが注射一回で一年効果あるのなら…(*゚ー゚)っとフィラリアの予防注射を受けたのですがヤバかったです。 あれから錠剤です。
おまけ
コーギーのしめじは「病院」、「注射」、「お風呂」など言葉がわかるらしく、この予定について話した週末には調子が悪くなるという手を使い逃げてました。
ようやく注射を打てたので今年の混合ワクチン、狂犬病ワクチンは完了です。
フィラリアとノミダニはあと1ヶ月?2ヶ月?(*゚ー゚)
コメント
以前コメントさせていただいたことがあるクゥ母です。
しめじちゃんはマイトマックスはまだ飲んでいますか?クゥは再び病院から飲む指示が出ました。やはりネットで購入する方が価格的に良いんでしょうね…。
日曜日のコーギーフェスティバル、我が家も参加します。
お会い出来ると嬉しいです(^^)
おはようございます!
しめじはマイトマックスの乳糖?ダメらしく(牛乳アレルギー有り)すぐ飲むのをやめました(^▽^;) 調子悪い時に獣医さんから処方されますがその時は下痢止めなども一緒なので…
明日お会いできることを楽しみにしてます!